最近気になる言葉。

学生さんたちの言葉で、
最近ちょっと気になる言葉があります。


こんなこと研究して何になるの?


という言葉です。
本当にたまにですが、
目にしたり、
耳にしたりします。



「何になるの?」というのは、
その裏に、どのようなことに役に立つのか?
という問いがあると思います。



1)しかし「役に立つ」というのは、無前提ではあり得ません。
「役に立つ」という問いを投げかけるとき、必ず、
私たちは「何(誰)にとって」「いつ」「いかに」を自覚しないといけません。
たとえば社会学でコミュニケーションについて、
考えたところで、
人と話すのは大してうまくなりません。
「上手に人と話す」ことにとって役立つのであれば、
社会学のコミュニケーション理論ではなく、
コミュニケーション術、コミュニケーションスキルを学ぶべきでしょう。
そうではなく、
「僕たちがしているコミュニケーションってそもそも何なのだ?」ということを
問いたいのであれば、
コミュニケーション術、コミュニケーションスキルではなく、
社会学のコミュニケーション理論を学ぶべきでしょう。


2)次に「役に立つ」=「有益である」「利益になる」という図式が
どこかで前提とされている気がしてなりません。
何か有益でないと、利益が得られないと学びませんよ
というのは、ちょっと知的けちではないでしょうか?
そんなけちを言わないで、
学びましょうよ。
楽しいよ。
と学生さんには言いたいのです。
特に20代の頃には、
お金はけちでも全然かまわないけれど、
知的には大盤振る舞いであってほしいのです。
「利益にならないことあったっていいやん、
その中からいつしか
自分にとって、とっても大切なことが
見つかるかもしれないよ」
「学問って有益か有益じゃないかは、
とりあえず置いておいて、
みたいなところからしか始まらないよ」
「考えるとか、知るって、すごく楽しいことなんだよ」
と学生さんに伝えたいのです。
「いや、別に考えるとか、知るってこと自体、楽しくないし」
と言う人は、来るべきところは
本当に大学なのでしょうか?