特別でないことによる特別。

自分が特別な存在ではないこと、
自分がすごいことを考えている人間ではないこと、
その「当然のこと」をきちんと意識することが、実は大切であり、
面白いことに、
特別でないことを受け入れることによってはじめて、
この世界でたった一人の特別でオリジナルな存在になる。


大学院時代にぼこぼこになって挫折しかけたときに、
一人暮らしの家で苦い缶ビールを飲みながら、ふと見上げた月に
優しく語りかけてもらっている感じがして、
「ああ、自分はほんと『ふつう』の人間なんだなあ」と思ったときから、
私の研究者の本当の第一歩が始まったのかもしれません。
「ふつう」に宿る「こだわり」だからこそ、
その「ふつう」を打ち破るのです。


これらの曲を聴くと、その時に月を見て
母親の優しい言葉をいろいろ思い出して、
会いに帰ろうかなと思っていた
(結局帰りませんでしたが)、
20代半ばの頃の自分を
ふと思い出します。