『「あたりまえ」を疑う社会学』感想。
今日から、
4回生ゼミの
卒業旅行です。
白浜に一泊二日の旅です。
たくさん温泉入るぞ〜と思いきや、
バスが人数分取れなかったので、
急遽、私は後から追いかけることにしました。
それまでの待ち時間、
ジュンク堂書店へ立ち寄りました。
そのときに購入した本。
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もちろん学生さんとともに、
バスに乗っていた方が楽しいですが、
本を見たり、購入したりしたので、
結構、それなりに楽しみました。
だからあまり、みんな気にしなくて良いですよ。
バスの中でも
ずっと本を読み続け、
一冊読み終わりました。
前にも日記で書いていた、
好井裕明さんの
『「あたりまえ」を疑う社会学』です。
読み終わってからの感想としては、
読み始める前と少し変わりました。
かなりこれは面白いです。
とても良い本です。
このことは前から思っていたのですが、
<調査>に対する考え方も
とても共感できました。
そのうえで言うと、
やはり「質的調査って何?」「量的調査って何?」と思うのです。
参与観察やインタビュー、会話分析を
「質的」とカテゴライズすることに意味があるの?
質問紙調査(アンケート調査とはあえて言いませんが)を
「量的」とカテゴライズすることに意味があるの?
そう思います。
好井さんの本でとても良いなあと感じたのは、
それらが参与観察とかインタビューとか会話分析とかだからではなく、
ましてや社会学者が「質的」とカテゴライズしている方法だからではなく、
一つ一つが研究している人びとに真剣に向き合い、
研究者との間に磁場をつくりだし、
そのなかで研究者の価値観も揺らぐ、
そういうものであるからなのではないでしょうか?
少なくとも私は、この本の
そういうことが書かれている部分にとてもひかれ、
魂を揺さぶられました。
もしそうだとするならば、
これは質問紙調査もそうですよ。
質問紙調査が高みから人びとや社会を俯瞰すると
いったことが書かれていましたが、
とんでもないと思うのです。
「質問紙の〜にマルをしているから・・・」ではなく、
「質問紙の〜にマルをすることは一体、何を語っているのか」を
あぶりだす作業が質問紙調査には大切だと思うのです。
数字のゆらめきから照射される人びとの想いをあぶりだす作業、
それはやはり研究している人びとに真剣に向き合い、
研究者との間に磁場をつくりだし、
そのなかで研究者の価値観も揺らぐものなのです。
そういうものに「量的」も「質的」もありません。
あるのは、真剣なまなざしがあるか否かだけではないでしょうか?
「常に自分の中に『風穴』をあけておき、いはば常に自分を『危うさ』に直面させておく。このことが、実は世の中を質的に調べるセンスの核心にあるのかもしれない」(p.242)
好井さんはこう書かれておられますが、
これは質問紙調査もまったくすべて同じだと思うのですが...。
ちょっと、そのあたりで好井さんと
私は考えが違っているように思うのです。
あと細かい、どうでも良いことですが、
「通常、よく使われる尺度は、『1思う−2どちらかといえば思う−3どちらかといえば思わない−4思わない』という四点尺度だが、この四点が等距離であることは、いったい誰が保証しているのだろうか」(p.33-34)
と好井さんは書かれていますが、
これは「順序尺度」なので、
誰も保証なんてしていません。
本当に些末なことかもしれませんが、
気になったので...。