的場昭弘さんの本、読了。

的場昭弘さんの
マルクスに誘われて』(亜紀書房)、
面白かったです。


高校生から現在まで、
ずっとご自身の半生を振り返っておられ、
的場さんという一人の研究者の軌跡が見られて、
同じ研究者として共感できる部分がありました。



ただ細かいところですが、
いくつか、すごく気になったところがありました。


それは以下のような文章です。


「私自身、将来はすし屋にでもなろうと思っていた人間である」
「学者という職業は、物的に豊かではないが、好きなことができる点ですばらしい職業といえる」


といった文章です。


すし屋に「でも」?
学者は、すばらしい職業?


こういうスタンスは私とちょっと違います。



だって、すし屋さんって、すごいですよ。
なろうと思っても、なかなかなれるものではない。
あの職人技、誰でもできるものではないですからね。


学者?
確かに「私にとっては」すばらしい職業です。
この職業に出会えて、「私は」とても幸せですし、
いつも感謝しています。
でも誰にとっても「好きなことができる」職業とは限らないでしょう。
(物的に豊かではないのは、その通りですね。とほほ)


だから、学者も一つの職業に過ぎないということです。
当たり前のことですけれど...。
学者は「私にとっては」、神様に与えられた天職(Beruf)ですが、
すし屋さんにとっては、すし屋さんという職業が天職ですよ。
それは、「好きなことができる」職業です。


このあたりの感覚、
ちょっと的場さんと違うのを感じました。



でもとても面白い本でした。