必修科目、未履修の問題について。

学習指導要領に基づく必修科目を
未履修としている高校が相次いでいる問題について。


一番の問題は、世界史の知識が不足するということでもなく、
制度的にフェアでないということでもないように
私は思うのです。
それらはどちらも、大きな問題ですが、
一番の問題ではないように思うのです。



一番の問題は、
「何か受験に必要ないし、面白くなさそうだし、やりたくねえなあ」と思いつつも、
必修ということで、ある程度無理にでもやらされることで、
「おっ。結構おもしろいなあ、これ」と思うチャンスを無くしてしまうことではないでしょうか。
これが一番マズイように思うのです。



何かに役立つ(この場合は受験に「役立つ」)からやる
という勉強は、学ぶ面白さをすげえ奪っている気がするのです。


たとえば「世界史」を受講したからと言って、
実は、世界史の知識がさほど増えるわけじゃないのですよ。
はっきり言って、私なんて高校で学んだ世界史の知識なんて、
ほとんど忘れてしまっているわけです。
数学だってそうですよ。
数学なんて、かなり忘れちゃっているわけです。
でもね、それをきっかけに、
「世界史、こういうところ面白れぇな」
「数学、なんか深いよな」と思い、
自分で本を読んだりし始めるわけですよ。
高校までの勉強って、そういうことこそが
大事なのではないかなと思うのです。


自分の世界はそうやって広がっていくと思うのです。



受験に役立つから勉強するなんて、
そんな「自分の小さな世界」に勉強を閉じこめたら、
もったいないですよ。
勉強は逆に、自分の殻をやぶって世界を広げるものなんだ。
受験は確かに大きな出来事だけれど、
でも受験なんて、「学び」のプロセスの一通過点ですよ。