ラカン派観光社会学。
次回の「観光社会学」は、
伝統の転移についてです。
- 作者: 総合観光学会
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よさこい祭りを事例として見られる現象を
考えてみたいと思います。
学生のみなさん、お楽しみに!
ところで私が言う「伝統の転移」は、
「伝統の伝播」とはまったく違います。
「伝統の伝播」とは様ざまな地域へ、
ある祭りが波及し、広がっていく現象を言うための概念ですが、
「伝統の転移」とは、そうしたことを言うための概念ではありません。
もちろん、それも意味しますが、
しかしそれだけを言うためであれば、
新しい概念は必要ありません。
「伝統の伝播」という概念で充分なのです。
このあたり、よく間違えられるのですが、
「伝統の転移」とはあくまで、
地域のアイデンティティの位相を明るみに出すための概念なのです。
自分たちのアイデンティティだと思っているものが、
実は他者のアイデンティティなのだということ、
逆もまた然りであるということ、
そうした合わせ鏡のように展開されるものこそが、
地域のアイデンティティの位相であること、
こうしたことを主張する武器となる概念が、
「伝統の転移」なのです。
これは、精神分析の研究者ジャック・ラカンのアイデアを
ベースとしているものです。
アイデンティティの位相を明るみに出すという点で、
いわば、ラカン派観光社会学とも言えるものなのです。
- 作者: 福原泰平
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