人文・社会科学の力。

今かなり真剣に考えるべきは、
誰も責任をとらない社会が
鮮明に現われ始めていることではないかと思いました。


このことについては、
ある政治家やお役人も
いろいろ問題があるのかもしれませんが、
これから真剣に考えないといけないのは、
アーレントの言う「凡庸なる悪」、
あるいはアドルノの言う「権威主義的パーソナリティ」
なのではないでしょうか?


「まあ、これやっちゃっているけど、私の責任でないよ。
だって、やれって言われたからやっているだけだし」という、
私たち一人ひとりの内に巣くう感性の問題です。


人文・社会科学の成果にそろそろ、
ちゃんと学ぼうよ(私も含めて)と思います。



だからこそ、私たちは、世界には多様な解釈が可能であることを知り、
自分の幸福を追求するために、
自分のアタマでみずから責任をもって判断すること、
そのことをきちんと表現できることを、
ますます学ばなくてはいけなくなっているように思います。


人文・社会科学は、このためにも大事です。
いつもいつも反対ばかりする人間を育成するためではもちろんなく、
一人ひとりが世界の解釈を変更させつつ、
みずからの幸福を追求しようとするとき、
人文・社会科学はとても大きな力を発揮するのではないでしょうか。


それが、誰も責任をとらない社会を
現われさせないことにつながります。



イェルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告

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現代社会学大系 12 権威主義的パーソナリティ

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服従の心理 (河出文庫)

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