観光政策における<目標値設定の妥当性>について。
2015年度から奈良県がかなり力を入れて実施した、
「大立山まつり」が目標値を大きく上回って、
成功をおさめたとのことです。
素晴らしい!
と言う前に、ちょっとよく考えてみると、目標値は「3万人」に設定されています。
この数字は大阪、京都、兵庫で言うと、
ひとつの市やある区の市民祭り並みの動員数です。
多くの観光客が来訪する京都祇園祭は、
「宵山」が行われる期間だけで、80万人くらいです。
行政が都道府県レベルで、
かなり本気になってやる観光イベントであれば、
他の都道府県では、数十万、数百万の動員数を
目標値として設定しています。
そもそも、どうして目標値が「3万人」なのか?
コストに対応して、目標値をどのように設定すべきか?
では、そうした目標値であれば、実施する意味はどれほどあるのか?
<目標値設定の妥当性>について、
奈良県では誰も言っていないのですが、
こうした議論を抜きに、目標値を上回ったから成功、
そうでなければ失敗みたいなことを言っても、
観光政策を前に進めることはかないません。
きちんと学術的な議論をふまえて目標値設定が行われるべきです。
ましてや、もし一政治家の政治判断(という名前の「思いつき」)で
目標値が設定されていたりなんかしていたら
(奈良県では、そんなことはまさかないと思いますが)、
目も当てられません。
「政治判断」という言葉は、
そんなためにあるのではありませんから。
いくら5万人来訪者があっても、
県自治体が中心となって実施するのであれば、
少なくとも10万人以上を目標値としなければ、
そもそも実施する意味もない。
もしそういうことであれば、これは失敗となるのではないでしょうか?
奈良県庁は、もう一つの市民祭りをつくりたかったのでしょうか?
それだったら良いけど。
<目標値設定の妥当性>を、
多様な観点から再考すべきではないでしょうか?