観光のコンヴィヴィアリティ。

ペネロペ・ドイッチャー『デリダを読む』(富士書店)は、
かなり分かりやすく、とても良いデリダ論だと思います。



これを読むと、脱構築、代補といった初期概念から、
他性、不可能性、歓待、友愛といった後期概念まで、
デリダの考えにある一本の糸があることに気づきます。


それと同時に、「他性とは不可能である」という意味について、
かなり分かりやすく述べられています(p.107のあたり)。



確かに他性は不可能であるにしても、
そうした不可能性に
できる限りふわっと優しく
手をやることが
いま観光にあり得ることではないでしょうか。
観光のこの働きを私は
「観光のコンヴィヴィアリティ」と
呼んでいます。



観光には他者を結びつけるような「宴(うたげ)性」があると思うのです。