「やれやれ」と思った記事。
読売新聞が配信する記事を見て、
「やれやれ」と思いました。
淫・呪・艶・賭…常用漢字の追加再検討へ
7月17日3時9分配信 読売新聞常用漢字表(1945字)の見直しを進めている文化審議会の漢字小委員会は、新たに加える予定の191字のうち、教育現場から不適切だと指摘を受けた「淫」「呪」「艶」「賭」など一部の漢字について再検討することを決めた。
17日に開く小委員会で議論する。
191字は使用頻度や、漢字とひらがなの交ぜ書きの解消などの観点から今年1月に選ばれた。文化審は「学校で教える漢字は常用漢字すべてではなく、学校現場の判断に委ねるべきだ」という方針から、踏み込んだ議論は行わないとしてきたが、学校などからの反対意見が相次いだため再検討を決めたという。
文化審は、現在の常用漢字に新たな漢字を加えるほか、使用頻度の低い「勺」など5字を削除するなどして計2131字とする見直し案を作成。2010年秋の内閣告示を目指している。
最終更新:7月17日3時9分
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/kanji/?1247787012
「淫」という漢字がなぜ教育上不適切なのか、
一教育者として、まったく分かりません。
そんなこと言ったら、
「読書に淫する」はどうなるのでしょう?
「彼女は人生の大きな賭に出た」という、
表現は教育上不適切なのでしょうか?
これらの漢字を教育上不適切と判断されるのは、
「淫」「呪」「艶」「賭」を読まれたときに、
判断されているご自身が教育上不適切な表象を
抱かれただけではないだろうか?
どのような表象を抱かれても、
それは個人の自由だと思いますが、
ただ、それを政策レベルに持ってこられて、
文化的表現の範囲を狭くされるのは、
困ってしまいます。
文字と、そうした文字によって表象される事柄そのものは、
何の必然的なつながりもないのではないでしょか?
ソシュールあたりをお読みになられて、
もう一度考え直されてはいかがでしょうか?
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それに、政策が文化的表現にできうる限り踏み込むべきではなく、
文化的表現は個々人による実践の中で
創造、変容、定着されていくべきだと私は思っています
(だから文化庁が設立されようとしているアニメの殿堂、
「国立メディア芸術総合センター(仮称)」も
よけいなお世話だと思っていたりします)。
それとも教育現場でそのように判断されるのは、
他に何か理由があるのでしょうか?
そうであるのなら、ただ漢字だけではなく、
そのことを踏まえたうえで、
判断されるコンテクストごと
議論をされた方が良いと思います。