関学への往復に本と論文を読了。
関学への往復の電車の中で、
本を一冊、論文を一本、読了しました。
新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか (NHK出版新書)
- 作者: 萱野稔人
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2011/10/06
- メディア: 新書
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少し、「?」と違和感をもったところもありました。
ナショナリズムに関する価値評価が
肯定的であられることについては、
ナショナリズムを肯定的に評価するにせよ、
否定的に評価するにせよ、
論理的に言えば、どちらも充分にあり得ることなので、
そのことは、違和感とはまったく関係ありません。
違和感を持ったのは、
日本の人文・社会科学における研究について言及する際に、
それぞれの議論のコンテクストから引きはがして、
非常に単純化し整理したうえで、
それぞれの議論を批判し、
みずからの立論を組み立てているところです。
たとえばナショナリズム批判で、
ある研究者がパトリオティズム(愛国の作法)や
クレオール性という議論を展開される場合にも、
そこには、その議論のコンテクストが当然あると思うのです。
そのコンテクストをずらしてしまって
議論を単純化してしまっては、
大切なものを、そこから引き出すことは
できなくなってしまうのではないでしょうか。
その本の中で、日本における既存の人文・社会科学が
ナショナリズム=悪という図式を持ってきたと書かれていますが、
私の知る限り、脱力するようなものでなければ、
ナショナリズム=善、ナショナリズム=悪、
どちらにせよ、そんな単純な図式を
大事に抱え持っているような研究など一つもありません。
それぞれの研究の議論にはコンテクストがありますが、
そのコンテクストをほぼ無視するかたちで、
相手の議論の大事な部分をそぎ落とし、
単純化し整理したうえで、それを批判しつつ、
みずからの立論を組み立てるというのは、
私はあまり好きではありません。
しかし、その一方で、
「なるほど!」と教えて頂いたり、
考えさせられたりする部分が多い本でした。
もう一本の論文は、『社会学評論』Vol.62 No.1に掲載された、
「社会の文化」という、ルーマン論のご論稿です。
これも、非常に面白いご論稿で、
拝読しながら、いろいろと考えさせて頂きました。
最近、拝読したもので他に、
『社会学評論』Vol.62 No.2に掲載されている、
「理論とその外部」というご論稿も刺激的でした。
アルチュセール論です。