観光研究が実務で「役に立つ」のか。

観光研究が実務で「役に立つ」のか。
そういう議論をたまに耳にしますが、


役に立つ


という言葉は、実はそれほど簡単ではないと思うのです。
それは、とても難しい言葉です。
とは言うものの、


研究が実務の役に立つ


これ自体、とても大事なことだと私は思っています。
しかし、その中身が問題です。
どのように「役に立つ」のか?


研究の知が、実務のレベルに直結し応用されることで「役に立つ」。
このことは、確かに大事です。
しかし、もし研究の知がこれだけ、
これのみに「限られる」のであれば、
そして「役に立つ」あり方が、
これに「限定される」のであれば、
あまり面白くないのではないかなと思うのです。


研究の知が、実務的な「当たり前」をざわつかせ、
そうすることで今まで常識だと思っていたことを
実務レベルで見直してみる
そうすることで実務レベルでしっかり「役に立つ」。
実務的な知に「開け」が訪れる。
そうした「役に立つ」も考えていくべきと思うのです。
もちろん、「役に立つ」が
やはり、これに「限定される」のであれば、
それもまたよくないことでしょう。


要は、「役に立つ」の多様性
もっと、研究者も、実務家も考えるべきだと思うのです。
「役に立つ」ということの「当たり前」も問い直すべきなのです。


そして、もう少し言えば、
「役に立つ/役に立たない」という問題設定じたい、
研究者も、実務家も、一度問い直してみても
よいのではないでしょうか?
「役に立つ/役に立たない」という問題設定で知を見ている、
その枠組じたいを一度、問い直し
違う地平からものを見ることも大事だと思うのです。